本日、女性と貧困ネットワーク立ち上げイベント無事終了いたしました。

お話いただいた方、足を運んでいただいた方、受付、お茶の準備、物々交換の準備を行っていただいた方、最後の打ち上げの準備等々様々な皆様のご協力のおかげで、無事終了(そして新しい出発)を迎えることが出来ました。

厚く御礼申し上げます。

本日採択されたアピールを下記、掲載いたします。

女性で安心な社会に―女性の貧困のほんとうの解決策へ声をあげましょう―
「女性は世界の労働の三分の二を行っているにもかかわらず、収入は五%でしかなく、資産は一%にも及ばない」(ILO:国際労働機関)

男性の貧困が、女性なみの貧困になってきた(貧困の女性化)ことで「貧困」が社会問題視されるようになりました。しかし、女性はずっと前から貧困でした。そして今、女性の貧困は悲惨さを増しています。
女性の約54%が非正規労働者として、正規男性の約40%の低賃金で働いています。シングルマザーの暮らしは平均年収171万円で手当があってもギリギリです。DVから避難した女性たちは不安に怯えながら「自立」を求められています。高齢女性の年金は低額で、生活に困難を抱えています。生活の厳しさから精神を病む人も多く、男性に頼ってもが更なる暴力や貧困につながる場合もあります。外国籍の場合、困難は非常に大きくなります。

しかし、女性の貧困はこれまでほとんど問題視されてきませんでした。なぜでしょうか。
日本では男性が外で仕事、女性が家事育児という価値観が根深いため、女性は男性に扶養されるのだから低収入で当然と思われ、女性が声を上げても男性の賃上げが優先され我慢を強いられてきました。女性自身も結婚すればなんとかなると思って来ましたが、結婚してもDVや夫のリストラや借金などさまざまなリスクと直面するケースが増えています。離婚後の子どもを扶養する責任は女性が負うことが多いのですが、子どもへの支援はまったく手薄です。

日本の企業は大小問わず、男女雇用均等法が成立した以降も女性をパートや派遣労働に追い込み、安上がりの労働力として利用してきました。また男性主導の労働組合の多くも、足元の非正規問題と男女の賃金差別を放置してきました。企業だけではなく行政において、福祉職や事務職において非正規雇用の率は増加し、正規職員のみではもはや現場は回らない状況です。パート労働や派遣労働の便利さに味をしめた企業・行政機関がそうした労働力をより多く求め、労働の規制緩和が進むことで、1990年代後半には主婦だけでなく多くの若い男女に、不安定な非正規労働しかない状況が産まれたのです。さらに、生活保護児童扶養手当、教育援助、雇用保険医療保険などさまざまなセーフティーネットが崩壊し、更なる貧困が女性たちを直撃しています。社会的な差別構造を抜本的に解決する対策が喫緊の政治的課題です。

私達は、様々な貧困問題に直面する女性たちが集まり、女性と貧困の問題の実態を明らかにし、訴え、女性たちの貧困の真の解決を図るために「女性と貧困ネットワーク」を結成します。私達は全国の仲間と情報を共有し、貧困にさらされている女性達の問題解決のために助け合いのネットワークを広げます。女性の貧困問題の解決のために、提言を行なっていきます。 

これまでの貧困問題の解決のための活動に敬意を払うとともに、提案をします。一つは、貧困状態にある男性の意識の問題、たとえば「男が妻子を養わなければならない」という認識が男性たちをより一層追い詰める要因になっていることへの気づきです。二つ目には女性の貧困を可視化し、女性が心身ともに自立できる労働とセーフティーネットを充実させることが、すなわち男性の貧困問題の解決につながることを共有化したいと思います。三つ目は今ある「労働市場」に「男性並み」に参入することではない働き方を作り出していくことです。労働基準法や産休等の様々の権利を企業・行政に働きかけ、時には法そのものを変革するなかで、男性中心の「労働」のイメージと現実を変えていくことです。それは女性のみならず男性にとって「賃労働者」としてだけではない「生活者」として生きる姿を示していくことでしょう。女性の働き方を考えること、それは労働の根幹を揺るがす力を持ち得るのです。女性も男性も共に「人としての尊厳」を持続できる、差別のない公正な雇用と安全で心豊かな社会を目指して、共に力を携え合いましょう。最後に、私たちのネットワークを、一緒にあなたの身近な人に伝えてください   
                              2008年9月28日 女性と貧困ネットワーク立ち上げ集会参加者一同