ウーマノミックスというけれど・・・第三次男女共同参画ってどうなの?


2010年末、政府が第3次男女共同参画基本計画を公表した。
2年近く掛けた参画会議や専門調査会、全国公聴会や意見募集等の末の果実、これからのこの国の進む方針を決めたアクションプラン、しっかりねと思ったものの、なんとこの文章をまとめている間に担当大臣が岡崎さんから与謝野さんに交代、大丈夫か。


第2次計画に基づいて進められたはずのこの5年間は、ほとんど効果は発揮されずじまい。社会のあらゆる分野で「指導的地位に女性が占める割合」を2020年までに「少なくとも30%程度」にすると掲げたが、衆院議員は現時点で10.9%、参院議員も18.2%、民主党女性役員は3.2%。女性労働者の所得は正規雇用者でも男性の7割以下。非正規労働者は、男性が全労働者の2割未満なのに対し、女性は5割を超える。国連女性差別撤廃委員会が、日本社会はいつになったら本気で取り組むのかと指摘したとおり、男女差別は一向に改善されない。


 第3次基本計画では、経済社会の変化に対応し、実効性ある計画とするため、新たな重点分野を設け、82の「成果目標」を設定、「M字カーブ問題」の解消や「女性と経済」についても強調していると胸を張るが、ウーマノミックスで女性の過労死や自殺も増えるなどというのは願い下げ。女性たちの声に押されて始められた性暴力被害に対応できるワンストップセンター事業構築や住民生活に光をそそぐ交付金、名前はかっこよさげだけれどなんとも使い勝手がまだまだ悪すぎ。未だに実現しない民法改正、子ども手当は実現したものの、配偶者控除はなくならず、固定的性別役割前提の制度慣行見直しはストップ。性中立のシステム構築は未だ光は見えてこない。UNWomenが正式に発足の年、あまりに世界から取り残された国のままではいたくない。本当によい年にしたいものです。
(報告:にわ)

以下、第3次基本計画を短くまとめてみました。


1.基本的考え方

  1. 実効性のあるアクション・プランとするため、具体的な数値目標やスケジュールを明確に設定するとともに、その達成状況について定期的にフォローアップを行う。
  2. 固定的性別役割分担を前提とした社会制度や社会構造の変革を目指すとともに、「ワーク・ライフ・バランス」や「子ども・子育て支援」、「子ども・若者育成支援施策」など、政府が一体となって府省横断的に取り組んでいる関連施策との密接な連携を図る。
  3. 女性差別撤廃委員会の指摘事項について点検するとともに、国際的な規範・基準の積極的な遵守や国内における実施強化、ジェンダー等重視し、国際的な協調を図る。

2. 第3次基本計画において改めて強調している視点

  1. 女性の活躍による経済社会の活性化を、女性の能力もフル活用ではたそう
  2. 男女共同参画社会は、男性にとっても暮らしやすい社会。働き方の見直し、介護の問題は男性も。ひとり親家庭の子どもや性犯罪の被害を受けている子どもなど支援が必要な子どもの問題も顕在化、安全で安心に暮らせる環境づくりのため、社会全体で子どもたちを支える。
  3. 単身世帯やひとり親世帯の増加、雇用・就業構造の変化、経済社会のグローバル化などの中で貧困に陥る層が増加している。女性は、出産・育児等による就業の中断や非正規雇用が多いことなどを背景として貧困など生活上の困難に陥りやすい。また、障害がある女性や定住外国人女性などは、複合的に困難な状況に置かれている。女性が働きやすい就業構造への改革などの推進で困難な状況に置かれている人々へ対応する。
  4. 女性に対するあらゆる暴力を容認しない社会的認識の徹底等、根絶のための基盤整備とともに、防止対策や被害者支援など、女性に対する暴力の様々な形態に応じた根絶のための幅広い取組を総合的に推進することが必要。
  5. 地域社会における人間関係の希薄化や単身世帯の増加等の家族形態の変化などの中で、

地域力を高めていくためには、女性も男性も誰もが出番と居場所のある地域社会を形成していくことが重要であり、また、人々に最も身近な暮らしの場である地域における様々な取組が不可欠。

3.今後取り組むべき喫緊の課題 (5年間で)

  1. 「社会のあらゆる分野において、2020 年までに、指導的地位に女性が占める割合が、

少なくとも 30%程度に」という目標達成に向けて、クオータ制(割当制)やインセンティブ付与、ゴール・アンド・タイムテーブル方式など多種多様なポジティブアクションを推進する。

  1. 男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度構築が必要、男性片働きを前提とした世帯単位の制度・慣行から個人単位の制度・慣行にといった視点から、固定的性別役割分担を前提とした制度・慣行の見直しを行う。ジェンダー統計を充実、ジェンダー予算の在り方や、家庭で担われている育児、介護などの経済的・社会的評価のための調査・研究を実施する。
  2. 男女間の賃金格差の解消や「M字カーブ問題」の解消、長時間労働の抑制、非正規雇用における課題への取組を進める。様々な生活上の困難の世代間連鎖を断ち切るためにも、家族や地域の持つ相互扶助機能の低下に対応したセーフティネットの再構築や、個人の様々な生き方に沿った切れ目ないサービスの提供を推進する。また、障害者や定住外国人が、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれている場合に、適切な支援を行う。
  3. 男女共同参画社会実現のために、国内本部機構が、その機能を最大限発揮できるように、総合的な企画立案機能、横断的な総合調整機能などを強化する。第3次基本計画や女子差別撤廃委員会の最終見解等の実施状況について監視機能の強化を図る。

計画の内容全体は、以下のページから見ることができます。
http://www.gender.go.jp/kihon-keikaku/3rd/index.html


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