フェミアートに囲まれた空間〜ヒューマンサービスセンター〜

うてつあきこさんと一緒に、港区コミュニティカフェヒューマンサービスセンター」を訪問した。


はいってすぐ、目があちこちに奪われる。
壁にはられたコースター。
たくさんのちらし、本棚、オブジェ。

「どうぞ」と机にお茶をだされてもわたしはおちつかなかった。
振り向くと、丸いダンボールに表裏コラージュした作品がかごにたっぷりはいっている。
思わず、手にとってコラージュの作品をながめる。

「すごい、かわいい、いいですね」

わたしはすぐかわいいという若者代表みたいにきゃぁきゃぁ騒いだ。


「あら、そういうのに興味をもってくれるとうれしいわ。それはね、満月に吠える会というここに訪れている人の発案のワークショップなの。ステキでしょ」

髪をレインボーに染めて、やわらかい様子の深澤さんはここヒューマンサービスセンターの事務局長だ。

ヒューマンサービスセンターは、東京都港区の男女共同推進係の委託で運営しているコミュニティカフェ

予約すれば一回2時間の匿名、無料の相談をうけられる。
また、月曜日〜金曜日までカフェはオープンな場として解放されており、
時折、「こんにちはー」と人が訪ねてきたり、座っていたりする。

イベント・ワークショップも開催されており、アートの雰囲気が漂っているのは深澤さんの人柄だろう。


「二階も見る?二階はね、秘密会議できるような落ち着いた場所なのよ」
深澤さんはちゃめっけたっぷりに紹介してくれる。



「こんな風だと、随分、リラックスして話しやすいでしょ?」
間接照明だけを付けて、蛍光灯の明かりをけすと、ゆったりした空間になった。
あちらこちらの本の背表紙や布の模様、椅子の淵、テーブルクロス・・・・

こんな空間で相談できたら、それだけで気持ちが少し落ち着きそうだ。




ひととおり、2階の相談ルームでフェミアートのこと、暴力のこと、差別のことなどを話して、
1階でお茶をすする。

お茶を飲んで落ち着くかと思えば、うてつさんもわたしも目の前の本棚がきになって仕方がない。
「ナガノさん、これ知ってる?あ、これ!これ!いいよねぇ」
次々と写真集、美術書などを引っ張り出して話している輪に深澤さんも加わる。

「これはね、フェミアートを一同にあつめたもの。女の作家ってたくさんいるのよ。ほら、これも、これも。みんな知らないけどね。
こんな風にとんでもなく突飛なことやっている女たちがいると、あたしだってもっとはじけちゃっていいやって思わない?
元気がでるの。」


深澤さんは次々におもしろそうなページを開き、本を開き、しゃべりだす。
「これは?どういういみ?こういういみ?」
と質問するわたしに作品の背景から説明してくれる。
深澤さんは美術大学を卒業して、そういったアートにとにかく詳しいのだ。



コミュニティカフェについて話を聞くつもりで、行ったけれど、このヒューマンサービスセンターのカフェを体験したような訪問だった。
ともかく、フェミアートに囲まれて栄養をたっぷり注入されたみたい。
でっぷりとふとったあったかい心で家路についた。
(報告:ナガノハル)