生活保護法改定について〜パッケージ支給から単給支給へ〜


生活保護法改定について女性と貧困ネットワークのひとつであるしんぐるまざーず・ふぉーらむの赤石さんが解説してくださっています。
生活保護はひとりひとりの暮らしにかかわる問題ですので、ぜひ、ご覧ください。

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生活保護受給者の急激な増加を受け、指定都市市長会は、昨年10月、国に対して、有期-保護制度、医療費一部自己負担制度の導入などの生活保護法制度の抜本改正を求める提言を行いました。
厚生労働省は、要望を受け、生活保護の増加に歯止めをかけようと、今国会に生活保護法の改正案を提出する意向と報じられています。
この動きに対し、現場の声を集めました。「生活保護はこうあるべき」あるいは「このような改悪はしてはならない」という2つの視点で、提言をお聞きしています。
(取材 OurPlanet-TV http://www.ourplanet-tv.org)



(以下、動画をざっくりとテキスト化しました。byナガノ)

医療扶助や住宅扶助など単給支給へ

今、生活保護はパッケージで支給されています。
生活扶助、医療扶助、住宅扶助、教育扶助などをパッケージで支給するので、その給付する基準を非常に厳しくしています。
病気になってお医者さんにかかれない。
生存の一番の根本である住宅費がない。
単給支給があると助かるという人がたくさんいます。
それによって生活保護の給付のハードルも低くなる可能性もあります。
単給支給をしたほうが裾野を広げられます。
捕捉率が非常に低く、2割くらいといわれていおり、
生活保護を本当は受けられるのだけれども受けていない人が多くいる現状です。

就労指導強化など新たな水際作戦

今、大阪で検討されている、就労の助言というようなものは、申請を受け付けても申請までに就労指導をやるといっています。
これが、新たな水際作戦になってしまいます。
しかも、一旦は申請を受理するので同行支援が届かない、受理されて1人になったあとのあらたな水際作戦となってしまう。
シングルマザーの場合には、離婚とかで非常に疲弊している、あるいはDV(ドメスティック・バイオレンス)で疲弊している中で、
すぐに就労には結び付けない。欝やこどもの病気など。たくさんいます。
その人たちにも就労指導を強化するということはこどもへの虐待を増やすことにもつながる。
福祉にも頼れない中、働きに出る場合、ネグレクトなど。

母子世帯は今、120万世帯といわれているのですが、親兄弟と同居していない独立世帯は100万で生活保護受給者は10万8千くらいなので、およそ10%が生活保護を受給しています。

貧困率は6割くらい。ほぼこの人たち全体が生活保護をうけられる世帯と考えていいと思います。
60万くらいの世帯が生活保護を受けたくないと思ったり、申請してもどうせ断られると思って受けていないと思われます。

ということで、中間的なセーフティーネットとなっているのが「児童扶養手当」です。
しかし、これはいろいろな支給制限、就労していなければだめなどある。

欧米のように住宅手当のようなかたちで、低所得世帯に住宅に対するなんらかの補助があればものすごく助かると思います。
今、国は公営住宅を減らしているのでその問題とも一緒に考えたらよいと思います。


赤石千枝子さん
(しんぐるまざーずふぉーらむ理事/ふぇみん婦人民主新聞編集部/反貧困ネットワーク-副代表)

しんぐるまざーず・ふぉーらむ
http://www.single-mama.com/
ふぇみん
http://www.jca.apc.org/femin/